ペルチェ素子 冷却システムの開発(空冷・液冷)

こんにちは、サンライズweb担当です。

さて、弊社ではオリジナル製品の設計・開発を行っています。量産もできますが製造は外部委託です。取引条件によりOEMまたはODMになるため、事例を紹介するのが難しいのですが、権利関係に問題の無い案件がありましたので紹介します。10年以上前の古いプロジェクトですが、小型冷蔵庫等に使われるペルチェ素子を使った冷却システムです。

記事で解説していきます。

ペルチェ素子 冷却システムの開発

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現在では、ソニーから首元に装着する”着るクーラー”が発売されるなど、ペルチェ素子を使用した機器は当たり前のようにあります。

当社では10年以上前に当時のベンチャー企業より依頼を受けて冷風装置を開発いたしました。空冷タイプと水冷タイプの2種類を開発しましたが、今回は空冷タイプの開発についてお話しいたします。

装置の開発目的

ペルチェ素子は直流電流を流すと、金属の片方からもう片方に熱が移動する性質を持ったデバイスです。温かい熱をもう片方に移すことで冷却効果を得ることができます。電流を反対に流せば暖めることもできます。

今回の装置の目的は寝具の電気毛布のようなもの(温冷マット)に冷風または温風を吹き込んで、快適な睡眠を得ることです。
コンデンシングユニットを使った装置ではコンプレッサーの音が気になって眠れません。寝具として静かな性能を求められたため、当時は流行っていたペルチェ素子を採用することになりました。

開発の範囲と基本設計

当社の請け負った開発の範囲は冷却ユニットの設計・開発と支給された温冷マットを使用した検証です。ゴールは心地よい睡眠です。

基本設計です。温冷どちらもできますが、基本的には冷却を目的とした製品なので冷却で考えてきます。

冷却ユニットに求められる性能を考えます。冷たい温かいは人間の感覚によりますのでどれくらいで快適に感じるのか、知見が無かったので作ってみてみないとなんとも、というところがあったのですが、機器の要求性能を求めるために下記のようなロジックを組み立てました。

1:人間の発熱量の計算
成人の必要カロリー数2,100kcalが大部分熱に変換されるとして100W位、睡眠時の発熱量を60%と仮定、寝具の断熱効率を80%と仮定すると50W
2:人間の冷却計算
体重:60Kg 比熱:0.83kcal/(kg℃) 室温:30℃
上記条件で30分で5℃温度を下げるための熱量 192W
1時間で5℃温度を下げるための熱量96W
冷却能力の仮設定
快適にコントロールするためには200W程度、ある程度冷却されて涼しさを感じる程度で良ければ100W

ペルチェ素子の仕様

形式:TES1-12705
大きさ:30x30x2.9mm
最大電流:4~16.8V 5Amax
使用温度範囲:-55℃~+80℃
吸熱量(Qcmax):44W

10年以上前のものです。カタログ値の吸熱量は44Wですが、装置に組み込んでシステムとして機能する実効値は半分くらいになります。これを6個搭載することになりました。

冷却ファン(軸流ファン・小型ブロワー)

冷却ファンは軸流ファン3つと小型ブロワー1つの構成です。
軸流ファンは、ペルチェ素子から熱を受け取った放熱板を冷却するため、小型ブロワーはペルチェ素子で冷やした空気を温冷マットに送るために使われます。

形式:軸流ファン
お手頃価格で放熱板のついているCPUクーラー□92mmを選択
小型ブロワー
最大風量0.29㎥/min 最大静圧300Pa

試作・検証結果

ペルチェ素子使用ポイント 6.4V 1.7A 吸熱量(計算値18W)6個使い
で機器吸熱量 180W
送風機仕様 250L/min 250Pa 使用ポイント180L/min
にて稼働検証した結果、室温対比-5℃下げるのに1分半程度、-10℃下げるのに7分強かかりました。

今回はここまでにします。
当社では、送風機、送風ユニットの他、オリジナリティーあふれる製品の開発受託を行っています。

最後に水冷タイプの試作機の写真をあげときます。それではまた。