ギアボックスの設計

こんにちは、サンライズweb担当です。

オリジナル製品の設計・開発を行っています。当社は送風機・ファンを使った製品が得意ですが、モーター動力を利用した装置の設計も行っています。
今回は、ギアボックスのお話です。

攪拌機を駆動するためのギアボックスです。半固体の堆積物をゆっくりと撹拌します。0.1kw程度の小型のACギヤードモーターで駆動するのでギアボックスも小型になります。

攪拌機向け小型ギアボックスの設計

冷却ファンのように高速で回転させるだけであればそのまま羽根に直結させれば良いですが、モーターからトルクのある回転力を低速で取り出すためにはギアボックスが必要になります。
大型のシロッコファンなどを減速させる場合はプーリーをつかいますが、減速比が大きくありません。
今回は半固体の堆積物をゆっくりと撹拌させるため、2秒で1回転~3秒で1回転くらいに落としたいです。4PのACモーターの場合、50Hzの場合1分間に1,500回転、60Hzの場合には1,800回転します。(同期回転速度)
ギアボックスの前段には平歯車とギアードモーターがありますので、ギアボックスの減速比は1/30で設計します。

MEMO
50Hz駆動の場合、無負荷回転数は、2Pで3000rpm、4Pで1500rpm
60Hz駆動の場合、無負荷回転数は、2Pで3600rpm、4Pで1800rpm
すべりは考慮しない

歯車の選び方

減速比1/30なのでウォームと歯数30のウォームホイールを組み合わせるだけです。歯車屋さんに特注で切ってもらうような特殊なものではないのでメーカー製の歯車を選んでいきます。
ウォームとウォームホイールは同じメーカーのものを選ぶのが基本です。
モジュール(歯の大きさ)とねじれ方向を良く確認します。
想定される負荷トルク、またはモーター出力から必要な強度を考慮して歯幅を決めます。歯幅が広い方が当たり前ですが強度は高くなります。

今回はモーター側のウォームはステンレス材(SUS304)、出力段はPOM材(樹脂:ポリアセタール製)にしました。

ポリアセタール(POM)
自己潤滑性があり、耐摩耗性に強い性質があります。
吸水性も小さく、高温、低温、多湿の環境下でも長時間の使用に耐える性質があります。また電気的絶縁性が高いため、治具にもよく使われます。
以前設計したセルスペーサー確認治具のベースプレートもPOM材を使用しています。

歯車が決まったら、歯車とシャフト、軸受け、ワッシャ等を納めるギアケースを設計していきます。ギアボックスを筐体に取り付けた際に十分な強度を担保できる構造でなるべく小さくします。

ウォームとウォームホイールの位置寸法はギアのかみ合わせ(バックラッシュ等)を考慮して設計します。

ギアボックスの中に塗布するグリス類も指定します。
軸受けオイル:シェル テラスS2 M 32
ギアオイル:コスモギヤーW460

それではまた。