排熱用Wファンユニットの設計

こんにちは、サンライズweb担当です。

オリジナル製品の設計・開発を行っています。当社は送風機・ファンを使った製品が得意です。客先との機密保持の観点からなかなか紹介できる案件が少ないのですが、今回はクロスファンを2台使用した排気用ファンユニットの設計についてお話しします。大手ゼネコン様から空調関係を一括で請け負っている、いわゆるサブコン様からの依頼です。
パソコンやモニターが多数設置されている環境で、作業者の健康面を配慮して空調設備を見直すことになりました。

ビル空調設備はありますが、パソコン本体は机下に格納されているためデスク周りの発熱が大きく、局所的に排熱が必要でした。

床下に排熱するのが良いのではないかとなり、排熱ユニットの部分だけ当社で
設計・製造(製造はOEM)を担当することになりました。

記事で解説していきます。

排熱用Wファンユニットの設計

サブコン様からの現地調査報告では、1台のデスクで複数のパソコンとモニターが設置されているそうです。パソコン1台200Wとしても4台で800W、かなりの熱量です。モニターはパソコン本体と離れているので建物空調の還気に任せられそうです。

当社の設計担当する排気ファンユニットは、1デスク当たり、約8㎥/minとなりました。この風量をファンの力で床下に排熱するユニットの設計です。

ファンの選定

風量が多く、静かなファンが必要です。また風の向きも水平方向に吸い込んで垂直方向(下方)に吐き出すことになります。

ファンの騒音値に関しては極力40dBに抑えて欲しい。(目標値は45dB以下)

他、フィルターを設置して床面のほこりを吸引しないこと、排気風向きを垂直に気流があがるように風向きガイド等をつける。。。。

といった要求を考慮して、クロスファンを使うことにしました。

クロスファン静かで均一な風を送れるので静音を優先される装置には適していますが、風量自体は大きく取れません。羽根の径を大きくすれば大きな風量を得られますが、クロスファンのタイプで径(羽根の直径)が大きいものはあまりありません。殆どのメーカーは大体φ60mmまでですが、ローヤル電機はφ200mmまであります。

今回はφ90mm羽根巾270mmのクロスファンを使います。

定格風量は4.2㎥/min、最大静圧22Pa、騒音42dBです。
これは50Hz/1,200rpm強で運転した場合です。
このクロスファンはケーブルが3本出ていて、つなぎ替えで強、中、弱にすることが出来ます。

これを2台つかえば最大で8㎥/minを満たせそうです。
騒音値については、実測して気になるようでしたら回転数を落とせば良いです。

カタログ値は強の場合のみ記載があるため、中と弱の風量を確認します。
配線をつなぎ替えて50Hzで測定します。

弱・・・・負荷電流0.32A 870rpm  3㎥/min(計算値)
中・・・・負荷電流0.38A 1,020rpm 3.5㎥/min(計算値)
強・・・・負荷電流0.44A 1,240rpm 4.2㎥/min(カタログ値)

さて、騒音値は強で42dBです。

弱の場合で35dB、中で38dBくらいですかね。
中でダブルファン(2台)にすると41dB、いい感じです。

送風機、送風ユニットを設計する場合は、必ず風量計画を立てます。
ある程度は羽根や回転数、ケーシングを変えることで風量、静圧、騒音のバランスを取ることはできますが、当初の計画から大きく外れた設計で進んでしまうと取り返しが付きません。

板金を設計してファンを放り込みます。

それではまた。