金属羽根と樹脂羽根の違い

こんにちは、サンライズweb担当です。

今回はファンのお話をします。

軸流ファン、シロッコファン(ブロワー)の羽根には金属製と樹脂製のものがあります。金属羽根の特徴として、堅牢で経年劣化による狂いが殆ど無く長期間安心して使える高信頼性のファンといえますが、樹脂製のファンに比べ価格が高くなります。

製造コストの削減が製品開発の大きな目標となる中、なぜ金属羽根のファンが樹脂製に完全に置き換わらないのか、疑問に思われる方もいるとおもいます。

それぞれの特徴についてお話ししたいと思います。

記事で解説していきます。

金属羽根と樹脂羽根の違い

それでは金属羽根と樹脂羽根の違いについて4点に絞って解説していきます。

  • 作り方の違いによるコストの差
  • 羽根の性能(風量、騒音)
  • ファンの寿命(熱によるベアリング寿命)
  • 回転検知(ファンセンサーの取り付け)

作り方の違いによるコストの差

樹脂製のファンは、金型を用いた樹脂成形により作られます。金型に樹脂を流して成型する方法です。羽根の部分に関しては一回の樹脂成形により完成するため製造コストが安く済みます。

一方金属製のファンは、羽根の数だけ、金属板から一枚一枚羽根の形に打ち抜きます。その後、それぞれの羽根を曲げて円筒状のハブに溶接します。

溶接は機械で行いますが、円筒状のハブに4~6枚の羽根を溶接するとどうしても多少のずれが生じてしまいます。微細なずれでも羽根を高速回転させたときに重さの偏り、バランスのずれがスムーズな回転に悪さをします。

回転にムラがあると、軸(シャフト)やベアリングに負担がかかりファンモーターの寿命を著しく短くしたり、振れの無い正常な羽根に比べ音が大きくなったりします。

そのため、溶接後に回転バランスを調整するために試験装置に乗せて回転させてバランスをとります。一つ一つ試験機で確認し、金属片を取り付けるなどして重さに偏りの無い羽根に仕上げます。この工程は熟練の作業者にしかできない調整で時間=コストがかかります。

金属羽根と樹脂羽根のコスト、材料の価格差もありますが、この調整工程の人件費が大きな差になります。

羽根の性能(風量、騒音)

ご存じの通り、金属は羽根に比べて堅い(剛性が高い)材料です。金属は剛性が高いため、同じ羽根の形状の場合、樹脂羽根に比べて薄くすることができます。

羽根は同じ大きさであれば薄い方が風量を大きく出すことができます。また同じ回転数であれば樹脂羽根に比べ回転時の騒音が少ないです。

静かなファンを求めるのであれば金属羽根をおすすめします。

ファンの寿命(熱によるベアリング寿命)

ファンモーターはなかなか壊れるものではありません。壊れる(性能が低下する)原因はベアリングの寿命によるものです。ベアリングにはグリースが入っていますが、ファンモーターの発熱により経年に従いグリースが劣化してしまいます。金属羽根は樹脂羽根に比べ放熱性が良いため温度上昇を抑えることができますので、グリースの寿命を長くすることができます。

また、羽根自体も熱による変形、狂いは金属製の方が少ないため安心して使うことができます。

回転検知(ファンセンサーの取り付け)

高価な装置が納められたラックの冷却用ファンなど、故障・劣化により装置自体が壊れてしまわないように、ファンの状態を監視するセンサーを取り付けることがあります。センサー付きのファンも多くあります。

回転検知センサーは、金属羽根がセンサー検出部に及ぼす磁気の変化を検知するため、金属羽根であれば殆どのファンに取り付けることができます。(樹脂羽根タイプでもセンサー付きのものもあります。)