【FFC・FPC】ZIFコネクタとNON-ZIFコネクタの特徴②【その他の違い】

こんにちは、サンライズweb担当です。

コネクタとかFFCに少し詳しいです。

前回、ZIFコネクタとNON-ZIFコネクタの端子の形状の話をしました。

ZIFコネクタはFFCケーブルを挿入するときに抵抗がないので多極のコネクタが作りやすく、 NON-ZIFコネクタはずぶずぶという抵抗を感じるので、極数が大きくなると不安があるという話でした。

コネクタの分類としては、端子の形状だけで説明がつくのですが、様々なバリエーションがあり、イメージしやすい比較の例で違いを説明します。

記事で解説していきます。

ZIFコネクタとNON-ZIFコネクタの特徴②

説明の中で想定するのは下記コネクタです。メーカー名は出しませんが、webで簡単に検索できるごく一般的なFFC・FPCコネクタです。

  • ZIFコネクタ:0.5mmピッチ、ZIF、SMT、ロックあり、金めっき
  • NON-ZIFコネクタ:1mmピッチ、はんだDIP、ロックなし、はんだめっき

上記の2つのコネクタについて、違いを説明をします。

その①FFCケーブルの挿抜力 ZIF と NON-ZIF →前回触れました。

その②コネクタのピッチ0.5mmピッチ1mmピッチ

その③基板実装方法:SMT(表面実装)  と はんだDIP

②、③は合わせて説明します。

0.5mmピッチですとコネクタのサイズが小さくなり、基板の専有面積を抑えることができます。

その反面、0.5mmピッチのSMT(表面実装)コネクタは、基板に配置する際にチップマウンター が必要になります。大量生産には大変効率のよい機械ですが小ロットでの生産には向きません。

1mmピッチのDIPタイプですと、基板のスルーホールに手で一つずつ挿入することができます。

その④ロックあり、とロックなし

ZIFコネクタは、FFCを挿入して、ロックをかけるまでFFCの導体と接触しない構造になっています。

そのため、ZIFコネクタには必ずロックがついています。

ロックがあることで、FFCを挿入するときには軽い力で、ロックをかけた状態では抜けにくく、 FFCを抜く際には軽い力で引き抜くことができます。

いいことずくめに思われますが、FFCコネクタは通常ロックを閉じた状態で納品されますので、下記作業手順でFFCの組み付けを行うことになります。

  1. FFCコネクタのロックを解除する
  2. FFCケーブルを挿入する
  3. FFCコネクタのロック操作を行う

NON-ZIFコネクタは、FFCケーブルを挿入するだけで作業完了なので、工程は1/3で済むことになります。

組み立ての人件費が少なくて済むほか、工程が少ないことでミスをする確率もぐっと下がります。

その⑤FFCケーブルの挿入方向 ライトアングル、ストレート

ZIFコネクタはライトアングルタイプが圧倒的に多いです。0.5mmピッチのコネクタが使われるセットは できるだけコンパクトに設計をまとめなければならないケースが多く、基板が折り重なるように使われるときにできるだけ高さを抑えられるライトアングルタイプが求められるからです。

Z IFコネクタでストレートタイプが求められるのは、基板が垂直に立っている場合と、一つの基板に複数のコネクタを並べる場合になります。

NON-ZIFコネクタはストレートタイプが多いです。

その⑥FFCケーブルとFFCコネクタの接点(上接点、下接点、両接点)

ZIFコネクタは、NON-ZIFコネクタともに上接点、下接点、片面接点(ストレートタイプは上下では表せないので、片面といいます。)両接点のコネクタがあります。

FFCの引き出し方向が上方になる場合は上接点、下方になる場合は下接点を選びます。

両接点のコネクタは、コネクタの端子の微細な加工技術が高くなったため作られるようになりました。

FFCの引き出し方向が、片方は上方、反対側は下方になる場合、両接点コネクタができる前は、それぞれのコネクタを 使わなければいけませんでしたが、両接点のコネクタであれば同じものを使えるようになります。

コネクタを2種類から1種類に減らせることで、購入単価を下げることができます。また、部品の管理も1/2で済みますので保管場所や管理の工数を削減することができます。

その⑦FFCケーブルの形状、耳なし、耳あり

2000年代の中頃までは耳なしタイプしかありませんでした。

2011年7月のアナログ放送終了、いわゆる地デジ化のタイミングでテレビメーカーが活況にわき、大型の液晶テレビを次々に開発をしました。大画面のテレビはたくさんの信号が流れるため、多極のFPC/FFCコネクタがたくさん使われることになりました。

大量の多極コネクタが使われるようになると、どうしてもコネクタの斜め挿しや半嵌合といった、組み付け上の不具合の発生が高まります。

そのため多極でも正しい位置にFFCケーブルを挿入しやすい耳付きのFPC/FFC コネクタが開発されました。

NON-ZIFコネクタは、耳付きのFFCタイプはありませんでしたが、近年、従来のNON-ZIFコネクタとは全く構造の異なるワンタッチタイプのコネクタが各社からリリースされています。ワンタッチタイプのコネクタについては、別の機会にお話ししたいと思います。

その⑧コネクタの作り方

ZIFコネクタとNON-ZIFコネクタでは部品の数が異なります。

ZIFコネクタ

  1. コネクタ本体の樹脂部品
  2. ロックの部品
  3. 端子
  4. 補強金具(無い場合もある)

NON-ZIFコネクタ

  1. コネクタ本体の樹脂部品
  2. 端子

ZIFコネクタは、SMT実装を前提としています。SMT実装では基板の両面に実装される可能性があります。

小極のコネクタの場合、2度目のリフローで脱落を防ぐために補強金具がついているものが多いです。

ZIFコネクタとNON-ZIFコネクタの違いについて、少しは理解の助けになりましたでしょうか。コネクタは各社がそれぞれ工夫をした製品を毎年のようにリリースしています。同じNON-ZIFのコネクタの端子でも,片側接点の端子と両面接点の端子では構造が異なりますし、プレスで打ち抜く方向(破断面)がことなります。実は前回の端子の図は誤りがあって差し替えています。

ZIFとNON-ZIFコネクタについては、次回以降もう少し細かく説明していきます。

今回はこの辺にしたいと思います。それではまた